99%の人は「まっすぐ立つ」ができない①

――健康に過ごすためのシンプルな秘訣は「まっすぐ」立つこと。

これは、整体師である私が一番大切にしている原則です。

多くの人を悩ませる、肩こり・腰痛・膝の痛み・頭痛といった症状は、
医療機関で検査しても、直接の原因が見つからないことがあります。
実際に、私の整体院も「どこに行っても解決しない」と言って
来院される患者さんが多いです。

こういったケースでは、
日常生活の中で体が本来のバランスを失っていることで、
全身の様々な箇所に不具合をきたしていることが多いです。
この本来のバランスを保っている状態のことを、
私は「まっすぐ」と呼んでいます。

裏を返せば、「まっすぐ」の状態を保つことができれば、
様々な体の症状は改善していきます。
今回は、この「まっすぐ」の奥深さをお伝えしていきます。

「まっすぐ」は「ピンと伸ばす」ではない

そもそも「まっすぐ立っている」とはどういう状態でしょうか？

背筋をピンと伸ばした状態をイメージする人もいるかもしれませんが、
実は違います。

私が言う「まっすぐ」とは、カラダ本来の自然な状態のことです。

例えば、人間の背骨には、いくつかのカーブが存在します。
この自然なカーブがある状態が本来のバランスであり、
私が「まっすぐ」と呼んでいる状態です。
ピンと伸びている状態が「まっすぐ」ではないのです。

「まっすぐ」立っている状態は、体にとって余計な負担がなく、
一番ラクな姿勢です。
なぜなら、それが体の本来のバランスだからです。

裏を返せば、「まっすぐ」ではない場合、
体のどこかの部位が緊張を起こしています。
これが体の様々な痛み・不具合の原因になります。

例えば、

ねんざ・外反母趾などトラブルや違和感が原因で、足首が固くなる
　↓
膝から股関節が歪み、骨盤が傾く
　↓
背骨の湾曲が崩れてストレートネックになる
　↓
結果として頭痛やめまい、耳鳴りなどの症状が出る

といった具合です。

私の施術では、硬い部分をほぐしたり刺激を与えたりするのではなく、
ただ「まっすぐ」を取り戻すことにフォーカスします。
その結果、多くの患者さんが体の悩みから解放されています。
それだけ「まっすぐ」は健康に過ごすための基本原則なのです。

「まっすぐ」な人はほとんどいない

「まっすぐ立つってそんなに難しいの？」
「ちょっと意識すればできるでしょ」

このように思う人も多いかもしれません。
でも、「まっすぐ立つ」は本当に難しいのです。

まず、「まっすぐ」な状態は、
私たちの日常生活のちょっとしたクセで簡単にに失われてしまいます。

脚を組んで座る、お姉さん座りなどは、骨盤周りを大きく歪めます。
腕組みは上半身のねじれを生みます。
スマートフォンやパソコンを見ている時間が長いと、首のカーブは失われます。

他にも、かばんの持ち方、つり革を持つ手、重心の偏りなど、
体のバランスはちょっとしたクセの積み重ねで崩れていきます。

クセの積み重ねがさらに進むと、
首のカーブがなくなる「ストレートネック」、
腰のカーブがきつくなりすぎる「反り腰」、
背骨が左右どちらかに曲がる「側弯症」といった、
正しくないバランスが常態化していきます。

なお、バランスの崩れは生活習慣の積み重ねなので、
なるべく若いうちに手を打った方がいいです。
患者さんを診ていても、若い方の方が治りは早いです。

そして厄介なことに、
本来のバランスを失った人が「まっすぐ」を意識するのはとても難しいです。

例えば、壁に掛けてある絵が斜めに傾いているとします。
初めは違和感があっても、その状態で生活して慣れてくると、
違和感なくまっすぐに思えてくるのではないでしょうか。

街で見かける、足を大きく開いて座る人、左右に大きく揺れながら歩く人、
内股で左右のかかとをつけられない人・・・

周りから見ると不自然でも、その人にとっては自然な状態であり、
本来のバランスを失っていることに気付くのはとても難しいのです。

首が本来のカーブを失って前に伸びている場合（いわゆるストレートネック）、
肩や背中には本来よりも10kg以上の余計な負荷がかかっていることもあります。
ですが本人は無自覚で、それが自然な状態だと思っているのです。
この状態が長く続けば、肩こりなどを招くことは簡単に想像がつくと思います。

おそらく、これを読んでいるあなた自身も
多少なりの体のズレを抱えていると思います。
私の経験上、街で見かけるほぼすべての人が何らかのズレを持っています。

背骨のカーブの不具合や左右のねじれなど、
体の状況は人によって本当に千差万別です。
ですから、まずはその人の体がどのくらいズレているかを認識した上で、
本来のバランスに持っていく必要があります。
これを自分ひとりでやるのは非常に難しいことです。

私の施術では、初診のときに患者さんの立っている姿を写真に撮って、
ご本人に見てもらいながらバランスのズレを説明しています。
本人はまっすぐ立っているつもりでも、定規を当てるとズレがわかり、
驚かれる患者さんがとても多いです。

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