柔道整復師と鍼灸師の資格を取得してます
スタイル新伊丹治療院の西村です。

【丹田を貫く棒】

手と丹田をもっと直接的につなげていく感覚をつくりましょう。

棒を下腹部のあたりにあてて棒の両端を手で持ちます。
身体の横から刺さって丹田を貫いていると思ってください。

焼き鳥のように丹田が串刺しになっていて、
その棒を両手で掴んでいるイメージです。

すると棒を介して自分の両手と丹田は
物理的につながっていることがイメージできると思います。

丹田だけを意識すると今度は丹田だけが動いて、その場に残ってしまいます。

丹田と手を一緒に動かそうとすると、
身体全体を固めた動きとなり相手と力が衝突して、
やはり動かすことはできません。

あくまでも両手と丹田だけをつなげて、
他の部分は脱力していなければいけません。

どんな形でも丹田さえ貫いていれば良いのでしたら、
棒のように固いモノでなくても丹田を貫くことはできるはずです。

【相手に気づかれないほどの小さな力と=見えない力】

相手の身体になんらかの反応が出た以上、それを起こした原因が必ず存在しています。

それは当たり前すぎるくらい当たり前の考え方ですが、
結果を起こしている原因が見えないと、人はそこに不思議さを感じてしまいます。

動きや力を察知されなければ相手は反応ができないということです。

例えば1キロずつしかはかれないはかりでは300グラムの重さをはかることができません。

このはかりに300グラムを乗せても、500グラムを乗せても目盛は0のままです。

力についても同じで、相手が感じ取れないくらいの力を少しずつ加えても、
相手はそれを力として感じることができません。

しかし力自体は発生しているので、気づかないうちにその力の影響を受けていて、
力に気づいた時には「時すでに遅し」で身体は崩れてしまいます。

これは「ゆでガエル現象」と同じです。

いきなり熱湯にカエルを入れれば驚いてすぐに逃げ出すけど、
ぬるい水の中で徐々に水温が上がっていくと逃げ出すタイミングを失って、
ゆであがってしまうというもの。

このように相手が察知できないくらいの小さな力を使いこなすことができれば、
相手にとっては見えない力となるので、
気づかれないうちに相手を崩すことが可能になります。

手が動き始める前から筋肉は手を伸ばすための準備をしています。
つまり、意識をした段階でもわずかですが、
力を出しているということになります。

【弱い力を感じ取るには無駄な力を抜いておくこと】

静かな部屋なら、ささやくような声でも耳を澄ませば聞こえますが、
騒がしい場所ではそんな小さな声を聴き取ることはできません。

同様に、身体の緊張が強ければ強いほど、小さく弱い力は感じ取ることができなくなりますので、
意識による力を感じるためには身体の無駄な力をなるべく抜いておくことが必要です。

対人においてお互いに身体というのは無意識レベルで影響し合っています。
肩に力が入った状態で技をかけようとすれば相手の肩にも力が入るし、
自分の膝の力が抜ければ相手の膝の力も抜ける。

これは整体やマッサージなどの施術においても言えることで、
自分の身体がガチガチに緊張した状態では相手をリラックスさせることは難しいが、
自分の身体が脱力できていれば相手の身体をゆるめてリラックスさせることは難しくありません。

つまり、相手が感じることができないような小さな力だとしても、
自分の身体につくった変化は相手の身体に何らかの影響を与えることになります。

【技術を高めていくことで見えてくるものがある】
 
「見えない」というのは必ずしも存在しないということではありません。
自分自身が見えていないからといって、それを全否定してしまえば、
あらゆることの可能性をつぶしてしまいます。

ベテランの料理人なら、同じような料理でもわずかな味の違いがわかります。

プロの音楽家は素人が聞き分けられないような音の変化を聞き取れます。

どんな分野においても、技術を高めていくことで見えてくる景色は変わります。

今の自分では見えないものでも、いつか見えるものがあるかもしれない。
今見えているものが実はまったく違うものに見える時がくるかもしれない。

『開眼すれば見えないものでも見えてくるが、盲目的になれば見えているものすら見えなくなる』

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