柔道整復師と鍼灸師の資格を取得している
スタイル新伊丹治療院の西村です。
一体、これを読んでいる方の中で、
「足を伸ばして床に座る」いわゆる長座が、
問題なくできる人はどれくらいいるだろうか。
いや、正直に言えば、長座ができなくても生活には困らない。
実際、「できたらいいな」レベルの動作である。
だからこそ、多くの人は気に留めない。
しかし柔道整復師と鍼灸師として、この「長座がつらい」という実態に、
危機感をそこはかとなく感じている。
それは、体が静かに、
しかし確実に変化してきているサインであることが非常に多いからである。
長座ができない体は、一体どうなっているのか。
長座とは、単に足を前に投げ出して座っている姿勢ではない。
本来、骨盤を起こしたまま自分の力で支え、
腰の自然な前カーブを保っている姿勢である。
太ももの裏に引っ張られながらも、体の奥の筋肉が骨盤を立てて支えている状態が、
「無理のない長座」なのである。
これに対し、長座が出来ない人はこうなっている。
膝を伸ばすことで、太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)は強く引き伸ばされる。
その力が、骨盤を後ろに倒す力として働く。
確かにもも裏やお尻周りの筋肉が硬いと、
何もしなければ、
骨盤は自然と後ろに倒れ「なにかに寄りかかりたくなる」状態に。
みんな、割と倒れるかもしれない
この「骨盤が後ろに倒れた状態」を、俗に骨盤後傾という。
それだけなら、まだいい。しかし、問題はここからである。
骨盤が後傾すると、
骨盤の上に乗っている腰の骨(腰椎)は、
本来あるはずの前へのカーブ(腰椎前弯)を失い、
丸く潰されたような形になる。
これが、長座で背中が丸くなり、腰がだるく、つらくなる正体である。
なぜ大人になると、長座が苦しくなるのか
ここで、ちょっと子どもの頃のことを思い出してみてほしい。
幼少期は、床に座ることは特別な動作ではなかったはずである。
かくれんぼで隠れるときも、砂場で夢中に遊ぶ時も、道端の草木をいじくるときも。
我々は股関節をしっかりおりまげ「しゃがんで」いたはずである。
遊ぶ、くつろぐ、立ち上がる。
そのすべてを、わりと床の上で自然に行っていた。
つまり、骨盤を自分で起こし、支える機会が日常的にあったのである。
しかし大人になると、その生活は一変する。
椅子、ソファ、車、電車。骨盤は常に何かに預けられ、自分で支える必要がなくなる。
別に疲れていても疲れていなくても、なにかが支えてくれる状態がスタンダードになる。
和式のトイレもなくなり、
いまでは日常的にしゃがむことも、
床に座ることもほとんど無くなってしまった人が大半ではなかろうか。
その結果、骨盤を立てた状態で保つ役割をもつ筋肉(腸腰筋・大腰筋)が、次第に使われなくなる。
そもそも骨盤周りや股関節周りの筋肉が、使われなくなっていく。
重要なのは、この筋肉は「弱くなる」よりも先に、「使い方を忘れられる」という点である。
ストレッチしても変わらない理由
多くの人は、長座がつらいとまず「硬さ」に注目する。
巷の情報をざっと見渡してもそうである。
確かに、太ももの裏が硬い。だから伸ばす。それ自体は間違っていない。
が、しかし。実際はそんなに単純ではない。
もも裏の筋肉(=ハムストリングス)の硬さをほぐし、
張力というブレーキを緩めても、骨盤を起こすアクセルとなる力がなければ、
姿勢は成立しない。
アクセル役を担う腸腰筋がうまく働かなければ、
骨盤は後傾したままになり、腰椎のカーブは潰れ続ける。
この状態が慢性化すると、
腰のだるさ、長時間座ったあとの違和感、
立ち上がるときの腰の重さといった「不調…未満のイヤな感じ」が増えていく。
さらに、腰椎で吸収できなくなった負担を背中や首が代わりに引き受けることで、
背骨全体の歪みへとつながっていく。
気づけば、猫背、ストレートネックなど、上へ上へと波及する。
私が「まずい」と感じている理由
ここまで聞くと、不安に感じる人もいるかもしれない。
だが、誤解してほしくない。これは「もう手遅れだ」という話ではない。
長座がつらい段階は、まだ取り戻せるサインが出ている状態である。
しかし、ここを見逃してしまうと、
違和感程度だったものが本格的な不調となってしまうかもしれない。
そうなると、割とやっかいなことになる。
腰痛を繰り返す、なかなかよくならない、という人のほとんどが、
この使い方のエラーによるものなのだ。
骨盤を起こして支える感覚を呼び戻す動きである。
長座は、わりといい指標になる
長座は、べつに日常でマストの姿勢ではない。出来なくても困らないし、
むしろ出来ないことに気づかないレベルでもある。
しかし、自分の骨盤を、自分で支えられているか。
その一点を、正直に映し出す姿勢である。
あなどれないー
もし今、床に座るのが億劫になったり、
長座を無意識に避けてしまうことがあるのなら。
体の使い方が、少しだけズレてきているサインかもしれない。
当院では、自然に無理なくまっすぐ立てるように
手足の左右差を揃えて日々取り組んでいます
改善が気になる人は
お気軽にお問い合わせください。































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